樹木解説
高さは1-3mになる。若枝には灰色の星状毛が密生する。葉は互生し、長さ3-7cmの倒卵状円形で先はややとがり、基部は浅い心形。質はやや厚く、灰白色の硬い毛が表面にはまばらにあり、裏面には密生する。7-8月、枝先に直径5cmほどの淡黄色の花を1-2個開く。花弁は5弁で、螺旋状に並び、長さ4-5cmの倒卵形で基部は暗赤色。雄しべは多数あり、花糸は合着して筒状になる。萼は鐘形で5裂する。萼の外側には細かい毛が密生した小苞が8-10個あり下部は合着する。さく果は長さ約3cmの卵形で先端はとがり褐色の毛が密生する。熟すと5裂し腎形の種子を多数出す。
12.07.20小石川植物園 |
12.07.20小石川植物園 |
11.07.15小石川植物園 |
09.07.19小石川植物園 |
12.07.20小石川植物園 |
12.07.20小石川植物園 |
12.07.20小石川植物園 |
12.10.19小石川植物園 |
小説の木々
梛(なぎ)とともに貴重な自然がもうひとつある。切目川河口右岸地域に広がる、全国でも珍しい自生の黄槿(はまぼう)の群生林だ。黄槿は塩生湿地にはえるアオイ科の落葉低木だが、切目の黄槿は樹高が大きいもので七メートルに達し、枝長も四、五メートルある。六月中頃から八月にかけて可憐な黄色い花をつける。朝開いて、夕方に咲き終わる一日花だが、株全体で次々と咲いて、夏じゅう花の絶えることはない。(「冬の旅」辻原登)