樹木解説
高さは3-5mになる。樹皮は灰色であmるい皮目が多く、老木では縦に浅い割れ目ができる。葉は対生し、長さ8-20cmの三角状または広卵形で、先は尖り基部は円形。ふちにまばらな浅い鋸歯がある。葉柄は2-10cmと長い。8-9月、枝先の葉腋から長い柄のある集散果序をだして、直径2-2.5cmの広い花をつける。花冠は長さ2-2.5cmの細長い筒状で、先は5裂して平開する。雄しべ4個と雌しべ1個は長く花冠の外に突き出て先は上向きに曲がる。萼片は長さ約1cmの卵形で、果期には平開して紅色になる。果実は直径6-7mmの球形で光沢のある藍色に熟す。
09.07.11森林公園 |
09.07.11森林公園 |
09.07.11森林公園 |
10.10.08森林公園 |
11.10.23小石川植物園 |
10.07.17森林公園 |
10.07.17森林公園 |
10.07.31新宿御苑 |
補足
私は、縁にしばらく腰かけてから石段を下ったが、石段の両側につらなる灌木の中に可憐な色を見出して足をとめた。「暗夜行路」の中に「彼は阿弥陀堂森の真中に黒い小豆粒のような実を一つずつ載せている小さな灌木を見た。掌に大切そうにそれを一つ載せている様子が、彼には如何にも信心深く思われた」と、描写されているが、私の眼にしたものと同一であることは疑う余地はない。低い灌木の枝先に、淡紅色の鮮やかな萼が星形状に五枚開いていて、その中央に濃紺色の実が乗っている。志賀氏がこの地を訪れたのは大正三年夏だが、氏の眼にした灌木がそのまま残っている。(「白い夏/暗夜行路の旅」吉村昭)