ムラサキシキブ(紫式部)

別名
科属 クマツヅラ科ムラサキシキブ属
学名 Callicarpa japonica

性状
落葉低木
葉の分類
対生、単葉、広葉、切れ込みなし、鋸歯あり
類似
備考

参考: 葉っぱでおぼえる樹木(柏書房)/日本の樹木(山と渓谷社)/樹に咲く花(山と渓谷社)

樹形

10.06.26森林公園

樹木解説

高さは2-3mになる。若枝は細くて垢状の星状毛がある。葉は対生し、長さ6-13cmの楕円形または長楕円形。両端はしだいにとがり、ふちには細かい鋸歯がある。両面ともほぼ無毛。裏面には黄色をおびた腺点がある。6-7月、葉腋から集散花序をだし淡紫色の花を多数つける。花冠は直径3-4mmの筒状で先は4裂し裂片は平開する。雄しべは4個で花冠から長く突き出る。花柱は雄しべより長い。萼は小形の杯形で先端は浅く4裂する。果実は直径3-4mmの球形で紫色に熟す。

12.09.09森林公園

12.09.09森林公園

11.06.23神代植物公園

11.06.23神代植物公園

11.06.23神代植物公園

10.06.26森林公園

09.09.21上福岡

11.10.17庄原市帝釈峡

補足

項目 ムラサキシキブ コムラサキ
樹高 2-3m 1-1.5m
長さ6-13cmの楕円形、長楕円形 長さ3-7cmの広卵状楕円形
鋸歯 細かい鋸歯 上半部の鋸歯
花期 6-7月 6-7月
花の出所 葉腋から集散花序 葉腋から少し上部から集散花序

小説の木々

秋も深まった頃に濃い紫色の実が枝に沿ってずっしりと並ぶ姿を散歩の途中のどこかの家の庭で見てたまらなく欲しくなり、高さ十センチほどの苗木を種苗店の店頭で五百円で買い求めた。大ぶりのすり鉢にふさわしいすりこぎくらいの幹は猫の爪とぎに適しており、飼い猫のトラが元気だったころはもっぱらこの木で爪をといでいた。トラが死んでもう三年に経つ。傷ついた幹の肌には厚い皮がかぶり、そこに残るわずかな凹凸だけが彼の生前の姿を思い起こさせるきっかけになる。けれど、それを知るのは妻とこの身だけだから、二人がいなくなればそこには幹がごつごつして不恰好だけれどしぶといムラサキシキブだけが残る。廃屋の庭いっぱいにムラサキシキブがはびこって、紫一色の晩秋の点景になればいい。(「先生のあさがお」南木佳士)