樹木解説
高さは1-6mになる。葉は対生し、長さ1-3cmの倒卵形または長楕円形で、さきはわずかにへこみ、革質で光沢がある。3-4月、枝先や葉腋に淡黄色の花が咲く。雌雄同種。果実は長さ約1cmの倒卵形で、先端に角状になった3個の花柱が残る。
庭木でふつうツゲと呼ばれているのは、モチノキ科のイヌツゲ(葉は互生)であることが少なくない。ツゲはツゲ科、葉は対生、鋸歯なし、イヌツゲはモチノキ科、葉は互生、鋸歯ありで区別する。
09.09.05小石川植物園 |
09.09.05小石川植物園 |
15.05.08小石川植物園 |
11.02.13小石川植物園 |
j樹名:ヒメツゲ(姫黄楊) |
09.02.14小石川植物園 |
09.02.14小石川植物園 |
09.09.05小石川植物園 |
小説の木々
半丁程歩いて小さな川にかかっている皐月橋を渡ると、躑躅の花が今を盛りに色とりどりに咲き乱れ、その花々の前に、ひっそりとした山門が建っている。門の中に入ると、花の色はなく、槙と松の常磐木が濃い緑の色を見せていた。人影のない静まりかえった院内へ入って行くと、奥まったところに拓植の植込みに囲まれた玄関があり、案内を乞うと、初老の婦人が現れ、「ようお詣りにお越しやした。どうぞ、お入りやす」奥へ案内した。(「不毛地帯」山崎豊子)
門の脇にある玉仕立てのツゲを乱暴に蹴った。枝が折れる音が響く。敷石の上に細かい葉が散った。「なにをする」思わず怒鳴った。ツゲの側面にえぐれたような穴が開いている。玉仕立てとは、木を刈り込んで球形に作ったものだ。シンプルなかたちだから。少しでも樹形が崩れるとみっともない。(「鉄樹」遠田潤子)