樹木解説
高さは10-20mになる。樹皮は帯黒赤褐色で薄く剥がれる。葉は互生し、長さ4-12cmの倒卵形でやや厚い膜質。裏面にはまばらに毛がある。6-7月、葉腋に直径5-6cmの白い花を開く。花弁は5個で、ふちには細かい鋸歯がある。花の下には萼片より短い2個の苞がある。蒴果は木質で長さ1.5-2cmのさきの尖った卵形で、熟すと5裂する。
15.06.20東京都薬用植物園 |
08.11.09川越 |
11.06.08上福岡 |
11.06.08上福岡 |
14.06.19上福岡 |
14.06.19上福岡 |
10.07.08上福岡 |
10.01.31上福岡 |
16.05.20花と緑の振興センター品種:夜明け前 |
16.05.20花と緑の振興センター |
16.05.20花と緑の振興センター |
16.05.20花と緑の振興センター |
小説の木々
別名沙羅(シャラあるいはサラ)の木。昨年家族で九州由布院へ行き泊まった宿で夕食に添えられていた。花期は6~7月で白いツバキのような花が咲くのでナツツバキ。樹皮はサルスベリのようにはがれまだら模様になる。「梅雨空の下、葉の緑に控えめな白を点々と置いた姿が、目に程良く感じられる。『ええ、沙羅(さら)の木なんですよ』。その家の人は木の別名を口にした。『さら』という異国的な音には、はるかな世界へ誘うような響きがあった」(2003年6月18日天声人語)
頭の内部が、空白になっていた。自覚症状がなく血色の良い弟が、癌の末期患者であると思いたくないが、醍醐氏の言葉だけに信じないわけにはゆかなかった。窓が光り、遠くで雷鳴がした。私は、窓ぎわの沙羅の樹葉が大きく揺れるのをうつろな眼でながめていた。・・弟が手術後一ヶ月で背中に痛みを感じるようになっているのは、決して切開痕の痛みではなく、その部分に異常が生じているとしか思えなかった。秋色が濃くなり、庭の沙羅の葉が朱色に染まった。近くの公園の池に渡ってくる鴨の数も増していた。(「冷たい夏、熱い夏」吉村昭)