樹木解説
普通は高さ5~7mだが、大きいものは18mになるものもある。よく枝分かれし、樹皮は黒褐色で老木では縦に浅い裂け目がある。葉は互生し、長さ3~6cmの広楕円形で鈍頭、基部は円形またはわずかに心形。ふちには波状の鋸歯がある。革質で表面にはやや光沢があり、裏面は淡緑色。4~5月、本年枝の下部に長さ2~2.5cmの雄花序を垂らし、上部の葉の脇に1,2個の雌花を付ける。雄花は直径1mmの楕円形で総苞に包まれている。堅果は年内は小さく、越冬して翌年の秋に成熟して長さ1~2.2cmの卵形で、下部は殻斗に包まれている。
09.09.26赤塚植物園 |
09.09.26赤塚植物園 |
09.09.26赤塚植物園 |
11.05.27徳島県 |
13.04.16筑波実験植物園雄花 |
11.05.27徳島県 |
15.04.26上福岡雌花 |
11.09.18高知県 |
補足
「お内儀にあけた雨戸のすき間から流れこむにぶい明るみが、赤茶けた部屋の中にかすかな青みを投げ込んだ。それは檐先の馬目樫の葉の茂みのせいだった。私はうつらうつらしながら、いつもきまってその青いいろのついた夢を見ていた」
「夕方、私はふりしきる雨の中を墓地へのぼっていった。雨に煙って外海はみえぬのだが、山峡の墓地からはかすかに荒海がみえる筈だった。私は八重の墓標の前にうずくまって横なぐりの雨が馬目樫の茂みをうつ音と、遠い荒波の磯をうつ地ひびきとをきいていた」(田宮虎彦「足摺岬」)