樹木解説
高さは20m位になる。樹皮は帯緑黒色でなめらか。葉は互生し、長さ4-13cmの長楕円状披針形で、ふちに浅い鋸歯がある。やや革質で裏面は緑白色。4-5月、雄花序を垂らし、上部の葉腋に雌花序を直立する。堅果は長さ1.5cmの球形または広楕円形。殻斗は浅い椀形で6-8個の総苞片の環があり、無毛。
小説の木々
新大橋を渡って御揉み蔵沿いの路へ分け入ると、もう佐和山道場のある深堀河内守の屋敷に聳える白樫の大木が目に入ってくる。樹齢百年を超えるというから、深川の土地が埋め立てられてほどなく、緑といえば未だ疎らな草しかなかった頃から根を下ろしたのだろう。豊かに張った梢の白い葉裏が四月の陽を照り返し、澄み渡った空を背景にして浜風に合わせるように明滅を繰り返す。(「白樫の樹の下で」青山文平)