樹木解説
高さは普通20-25m、大きなものは35mになる。樹皮は滑らかで、帯紫褐色または灰褐色。葉は1.5-2cmの線形、らせん状に互生。葉の裏には2条の気孔帯が目立つ。6月に開花し、雄花は紅色。球果は5-8.5cmで、9-10月に成熟して黒褐色になる。
11.01.29筑波実験植物園 |
11.01.29筑波実験植物園 |
11.01.29筑波実験植物園 |
11.01.29筑波実験植物園 |
小説の木々
足下に麓が小さく霞んでいる。雪の中に森が肩を寄せ合っている。トドマツの黒緑を、靄がゆっくりと包みこむ。空が一段と近くなる。尾根が幾重にも入り組んで、皺だらけの老人のようだ。削がれた斜面は仰ぎ見ればおのずと背筋も伸びてくる。急激に険しくなった目の前の斜面に、木は一本も見当たらなかった。(「光る牙」吉村龍一)