樹木解説
幹は直立し、大きなものは高さ40m、直径1.2mになる。樹皮は黒褐色で厚く、不規則な鱗片状に裂ける。枝は密生し水平に広がり、円錐形の樹冠になる。葉は長さ1-2cmの扁平な線形で、先端のとがる。表面は農緑色で光沢があり、裏面は白っぽくてよく目立つ。5-6月に開花し、雄花は黄褐赤色で黄色の花粉を出す。雌花は紅紫色で枝先に直立する。球果は長さ4-8.5cmの長楕円形で、はじめ上向きでのちに下向きになる。9-10月に成熟すると淡黄褐色になる。
11.01.29筑波実験植物園 |
10.04.03筑波植物園 |
10.04.03筑波植物園 |
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11.01.29筑波実験植物園 |
11.01.29筑波実験植物園 |
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13.04.16筑波実験植物園 |
小説の木々
<倒木更新>北海道の自然林では、えぞ松は倒木のうえに育つ。むろん林のなかのえぞ松が年々地上におくりつける種の数は、かず知れぬ沢山なものである。が、北海道の自然はきびしい。発芽はしても育たない。しかし、倒木のうえに着床発芽したものは、しあわせなのだ。生育にらくな条件がからえられているからだ。とはいうが、そこでもまだ、気楽にのうのうと伸びるわけにはいかない。倒木の上はせまい。弱いものは負かされて消えることになる。きびしい条件に適応し得た、真に強く、そして幸運なものわずか何本かが、やっと生き続けることを許されて、現在三百年四百年の成長をとげているものもある。それらは一本の倒木のうえに生きてきたのだから、整然と行儀よく、一列一直線にならんで立っている。(「木」幸田文)