樹木解説
大きいものは高さ40mにもなる。樹皮は厚く灰黒色で、亀甲状の鱗片となり剥がれる。葉の色はアカマツより濃い。葉は長さ10-15cmの針葉で、先端は尖り、2本束生する。雌雄同株で、花期は4-5月、雌花は長さ3mm程度の球形で紫紅色、雄花は多数らせん状に密生する。
10.02.20新宿御苑 |
09.09.20神代植物公園 |
14.05.10新宿御苑 |
15.10.08小石川植物園 |
15.10.08小石川植物園 |
16.04.21新宿御苑 |
16.04.21新宿御苑 |
09.06.27上福岡 |
名称:兼六園の根上松 |
15.06.01石川県兼六園 |
15.06.01石川県兼六園 |
15.06.01石川県兼六園 |
小説の木々
焼けた家を見てくれというので連れだって行ってみた。消防や保険の用語では全焼ということになるのだろうが、建物は三分の二くらいはしっかり立っていた。庭にものが散乱し、一部だけ半端に青いシートがかぶせてある。庭の松の木はそこに当惑して立っているようで、隣の神社の木立が松の木を哀れんでいた。(「砂丘に坐り込んだ船」池澤夏樹)
子どもの頃、こんな匂いの夏の夜に、家族で花火をしたなあと思い出す。庭にバケツを用意して、飽きることなく手持ち花火に火をつけた。縁側で、おじいちゃんがたばこを吸いながらみていたっけ。あれからたくさんの年月が経って、おじいちゃんもあばちゃんも亡くなってしまった。当時の家も建て替えて、縁側もなくなった。庭にあったクロマツももうない。スーパーでお弁当を選びながら、留美子はふと、人間というものはこうして死んでいくものかもしれないと思った。(「明日の食卓」椰月美智子)
いったいどうすればよかったのだろう。どこから間違えていたのだろう。自分たちはいつ、何に失敗したのだろう。瀬下にはわからなかった。人はこうしていつも、唐突な風の中で、波の中で、ただ身をまかせていくしかないのだろうか。ねじ曲がった黒松の下で、瀬下は無意味な問いを繰り返し、咽喉の奥では叫びが頭をもたげていた。それを力ずくで封じ込めるように、瀬下はいっそう歯を食いしばり、しかし叫びはつづけざまに咽喉元へ突き上げた。周囲では歪な木々がただ静止して、ときおりの風に針葉を震わせて、遠くで海鳥の声が響き、どこかで鳴った車のクラクションがそれに重なった。(「鏡の花/たゆたう海の月」道尾秀介)