樹木解説
高さは普通20-30m。樹皮は暗褐色で長い鱗片状に剥がれ落ちる。葉は短枝に20-40個束生し、長さ2-4cmの針状で柔らかい。5月頃開花し、雄花は黄色の卵形で短枝に下向きにつく。雌花は薄紅色で短枝に直立するかまたはやや横向きにつく。球果は長さ2-3.5cmの広卵形で上向きにつき、はじめは帯白緑色で、9-10月成熟すると黄褐色になる。
15.06.10日光植物園 |
09.11.29森林公園 |
09.10.10森林公園 |
09.11.29森林公園 |
15.06.10日光植物園 |
14.05.14森林公園 |
10.10.27森林公園 |
10.10.31上高地 |
小説の木々
大学へ至る道の両側はカラマツの並木で、その左右には目の届くかぎり、紫色の亜麻の花と白い馬鈴薯の花が咲いていた。暖かくなるとともに、ふみ子は、この大学の寮にいる大島に逢うために、週に一度はバスで来て、カラマツの林の前で彼を待った。(「冬の花火」渡辺淳一)
官舎の表に出てみると、落葉松の小枝から霧氷がパラパラ散って、桜の落花のようだ。真青い空は母国の海を思わせ、妻は若い眼を上げた。(「掌の小説/水」川端康成)
葉を落とした背の高いカラマツの木々に囲まれた一角だった。まだ日は高かったが、光は充分そのあたりまで届かず、建物は弱々しい冬の残照の中に、深く沈み込んでいるように見えた。悠子は両手にボストンバッグを下げたまま、束の間、カラマツの枝先で儚げに煌いている冬の光を見上げた。・・悠子が診療所を出る頃、すでにあたりは闇に包まれており、晴れた日にはカラマツの木々の梢から、瞬く星が覗いて見えたそれはかって見たこともないほどちかちかと冷たく輝き、底知れない宇宙の孤独を連想させた。(「冬の伽藍」小池真理子)