キンカン(金柑)

別名 ナガミキンカン(長実金柑)
科属 ミカン科キンカン属
学名 Fortunella margarita

性状
常緑低木
葉の分類
互生、単葉、広葉、切れ込みなし、鋸歯あり
類似
備考

参考: 葉っぱでおぼえる樹木(柏書房)/日本の樹木(山と渓谷社)/樹に咲く花(山と渓谷社)

樹形

09.07.09分倍河原

樹木解説

高さは1-2mになる。棘はあってもごく短い。葉は互生し、長さ5-7cmの長楕円状披針形で革質。ふちには浅い鋸歯がある。裏面は乾くといぼ状の腺点が目立つ。葉柄には翼はない。初夏から秋に2,3回、直径約2cmの白い花をつける。花弁は5個。果実は直径2-3cmの球形で橙黄色に熟す。

09.07.09分倍河原

09.01.04上福岡

09.07.09分倍河原

09.07.25上福岡

補足

柑橘類 枝の棘 葉柄の翼 花弁 果実
ウンシュウミカン なし なし 3-3.5cm 5-8cm
タチバナ あり なし 2cm 2.5-3cm
ユズ あり  広い翼 3cm 4-7cm
スダチ 長い棘 広い翼    4-5cm
イヨカン
 あり   
ハッサク
広い翼

ダイダイ あり 広い翼    
ネーブルオレンジ        
アマナツ   あり   12-15cm
ナツミカン   狭い翼   12cm
グレープフルーツ   広い翼   10-15cm
ブンタン      

18cm

レモン あり/なし なし   8-10cm
キンカン 短い棘 なし 2cm 2-3cm

小説の木々

「駿ちゃんが生まれたときにねぇ、おばあちゃんは、この木を植えたんだよ」庭の隅に二メートルほどのキンカンの木があった。青々とした葉をつけ、あちらこちらにオレンジ色の二、三センチほどの実がなっているのが見えた。中庭のはずれだったせいか、こんな木が育っていることに、初めて気付いた。雨上がりで、キンカンの濡れた葉が青く美しい。中庭を出た時、母は駿に、もいだばかりのキンカンを渡していた。駿は少し齧り、歯形のついたそれをなんだかぼんやり見ている。駿は母に笑いかけた。幼かった頃のままの、何の曇りもない笑顔だ。母はすべてを与えつくすかのような表情で駿を見る。母は次にいつ会えるか分からない駿の言葉やしぐさ、表情のすべてを、自分の胸に大切に刻みこもうとしているように思えた。(「青い約束」田村優之)