サトザクラ(里桜)
別名
科属 バラ科サクラ属
学名 Cerasus lannesiana Carriere
性状
|
落葉高木
|
---|---|
葉の分類
|
互生、単葉、広葉、切れ込みなし、鋸歯あり
|
類似
|
|
備考
|
参考: 葉っぱでおぼえる樹木(柏書房)/日本の樹木(山と渓谷社)/樹に咲く花(山と渓谷社)
樹形
14.04.15新宿御苑サトザクラ「梅護寺数珠掛桜」
樹木解説
里桜は、山桜に対し、人が里で交配による改造を行ったり、変異によって生まれた園芸品種の総称。大島桜を改良したオオシマザクラ系のものが多い。花期は4月~5月、八重咲きの多くはソメイヨシノより1週間ほど遅くから咲き出し、開花期が長い。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
小説の木々
たけは黙ってのぼって行く。私も何も言わず、ぶらぶら歩いてついて行った。砂山を登り切って、だらだら降りると竜神様の森があって、その森の小路のところどころに八重桜が咲いている。たけは、突然、ぐいと片手をのばして八重桜の小枝を折り取って、歩きながらその枝の花をむしって地べたに投げ捨て、それから立ちどまって、勢いよく私のほうに向き直り、にわかに、堰を切ったみたいに能弁になった。(「津軽」太宰治)
散った桜は無残だと思う。薄く頼りない花びらがあちこちで吹きだまり、消しかすみたいに縮れて朽ちていく。桜で覆われるこの街だと、ことさら夢の終りめいたものを感じさせる。今年はアトリエにこもって昼夜逆転の生活をしているうちに桜はなくなっていた。・・鴨川沿いを走る。もう花のない新緑の木ばかりだった。代わりにピンクの大ぶりの八重桜が、ところどころでぽんぽん咲いていた。可愛らしい花だが、私は彼女たちを桜とは認めない。ひやりとした冷たさがあるのが桜だ。(「男ともだち」千早茜)