樹木解説
高さは約25mになる。葉は互生し、長さ6-12cmの倒披針形。雌雄異株。4月頃開花する。雄花序は長さ2-4cm、雌花序は約1cm。苞の中の雄花では雄しべが5-8個、雌花では雌しべが1個ある。花柱は紅色で2裂する。果実は直径1-2cmの卵形で突起が多く、夏に赤く熟す。
09.07.01分倍河原 |
09.07.01分倍河原 |
09.02.04三島 |
09.06.16白金台 |
10.04.09昭和記念公園雄花 |
11.04.13上福岡 |
10.04.09昭和記念公園雌花 |
11.04.13上福岡 |
小説の木々
すでにしんと静まり返った小学校の横を、なんとなく息を殺して通り過ぎる。丘を登り切った一番上に、私の目的地はあった。手前にはぞんざいにラインを引いて駐車場に使われている空き地、はしに、名前は知らないが、濃い緑の葉に覆われ、赤い実をつけたかなり大きな木が一本。・・・やっとてっぺん。目的地に着いた。大きな木のほうから、甘い匂いが漂ってくる。古いアパートの隣が空き地になって、その隅に生えているのだ。ちょうど今の時期は、細かいぶつぶつが集まった、ビー玉くらいの大きさの赤い実をつけている。・・・うん、この実、ほかにはないんだよ。ぼく、ここでしか見たことがない。ヤマモモって言うんだ。(「FOR RENT-空室あり-」森谷明子)
よろめきながら歩き出す。なにか柔らかいものを踏んだ。頭上を見れば、びっしりと赤黒色の実がついている。山桃か、懐かしい、と思った。子供の頃、よく採って食べたものだ。手の届く枝を見つけ、雅雪は腕を伸ばした。もうすこしで枝に手が届く、と爪先立ちしたとき身体がふらついた。足を踏ん張ろうとしたが力が入らない。そのまま前のめりに倒れた。身体が動かない。そのままじっとしていた。身体の下で山桃の実が潰れている。甘酸っぱい匂いがした。(「雪の鉄樹」遠田潤子)