小説の木々17年11月

開け放した窓から手をのばしたら、捕まえてしまいそうだった。くもにはあたしの手が見えないのか、糸でぐるぐるまきにして真っ白になったオニヤンマに咬みついたまま、動かないでいる。高い笑い声が、巣のかかる夾竹桃の茂みのむこうに上がった。あたしは手をひっこめて、ピアノの前に戻った。(「みなそこ」中脇初枝)

「かくれみの」の読書歴

蔵書を整理した。中学校の頃から読書を始め、最初に読んだ文庫本は伊藤左千夫の「野菊の墓」だったと記憶している。確かS.Oさんから借りたものではなかったか。今から思えば、本を貸してくれたことは実は告白だったか?学生の頃は電車通学で文庫本を読んでいたが、例外なく太宰治、芥川龍之介、志賀直哉、夏目漱石あたりから始め、三島由紀夫、福永武彦、立原正秋等へといった。借りて読むのは好きではなくほとんど購入していた。三浦哲郎の「忍ぶ川」はいつごろ読んだのだろうか。しかし、家でボヤをだし、この時代の蔵書は水浸しで全部捨てた。会社に入ってからは読書の習慣がしばらく絶えて電車の中ではビックコミックを愛読していた。いつの頃からか再び読み始めているが、多少金銭的余裕もできてハードカバーも購入し始めた。気に入った本があると同じ著者物を続けて読む傾向もある。当然ながらいつの間にか本が山積みになり始めた。でも捨てきれないでいる。(本棚左下の家マークをクリックするとマイ本棚へ)

(東山彰良)

株式会社講談社 講談社文庫 第2刷 17年08月02日発行/17年10月 日読了
 
積読

ダブル・フォールト(真保裕一)

株式会社集英社 集英社文庫 第1版 17年10月25日発行/17年10月 日読了
 
積読 

螺旋の手術室(知念実希人)

株式会社新潮社 新潮社文庫 第1版 17年10月01日発行/17年10月 日読了
 
積読

カラヴィンカ(遠田潤子)

株式会社KADOKAWA 角川文庫 初版 17年10月25日発行/17年10月 日読了

積読

オリブヴィオン(遠田潤子)

株式会社光文社 初版第1刷 17年10月20日発行/17年10月 日読了
 
積読

穂高に死す(安川茂雄)

株式会社山と渓谷社 初版第1刷 15年07月05日発行/17年10月 日読了

積読

道迷い遭難(羽根田治)

株式会社山と渓谷社 初版第2刷 16年11月10日発行/17年10月 日読了

積読